15年前にバブルがはじける前までは「横並び」とか「親方日の丸」とかいう言葉があって、少なくとも同業種では賃金などを中心に業績に殆ど関係なく同じという時代があった。また、ある親方の下にぶらさがっていれば安心という「いい」時代があった。
当時は「横並び主義はやめよう」とか「親方日の丸の下で安住するのはよくない」とかの批判が多く聞かれたが昨今はこの言葉は死後になったようだ。
金融業界でも業績の差によって賞与や給与の上げ下げに差が出ているようだし、親会社の下にぶらさがる子会社が安全というよりはむしろ子会社のほうが親会社より元気がいい会社が数多く見られるようになった。
この15年前までと昨今との大きな違いがどこから来ているかというと、15年前までは高度成長期でいけいけどんどんの「レースの時代」。1着になるか2着になるか、入賞さえしていれば賞金がもらえる時代であったから、「和」を尊ぶ日本人にしてみれば横並びがもっとも心地よかった。しかしながら現在は低成長時代になったものだから、ゼロサムといって勝つものがいると必ず負けるものが出てくるといういわゆる「ゲームの時代」。市場のパイが大きくならないのだから、誰かが大きくなれば誰かがその分ちいさくなってしまう。
にもかかわらず、こういう時代になると「格差社会」と声高に叫ぶ人が多いのは不思議だ。というか、いつの時代も批判する人はどんなことでも批判する。確かに人権とかの格差は論外だし、敗者が復活できる仕組みを確立することは焦眉の急だが、努力して成果を上げた人と、たいした努力もしない人で差がついたからといってこれを格差社会というのであればなにをかいわんやである。
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